朱門酒肉臭、路有凍死骨-2

更新日:2021年03月15日
習近平氏国家主席と、贅沢三昧の中国料理。
 このようなシステムは習近平氏が国家主席となり、政治局会議で政治局員に対し、
  会議の簡素化・効率化、
  出張の際の送迎・接待の簡素化や同行者の縮小、
  各種の儀礼的な慣行の禁止、
  質素節約の励行
などを指示しました。
 そして2016年に習八条とも呼ばれる中央八項規定として贅沢禁止令などが発動され、汚職の徹底追及と懲罰が行われるようになってから、官官接待で贅沢三昧の共産党幹部はすっかりいなくなってしまいました。1回や2回の贅沢で官職を失っては大変ですから、非常に神経質になっていると思われます。それでも腐敗はまだまだ無くならないようです。
 「吃喝一条街(高級レストランが立ち並ぶメインストリート‘吃’は食べる、‘喝’は飲む)」で、一本5〜6,000元(日本円で約10万円)以上する茅台酒のラベルを剥がしたり、ミネラルウォーターのビンに入れ替えるといった偽装が行われ、高級レストラン前に停車している車のナンバープレートを隠す事例、さらに銀行が自社ビルの上に一般のエレベーターでは行けないプライベート倶楽部を設けて特別客を接待する事例が多く見られています。
 高級官僚の「吃喝玩楽(贅沢三昧に遊ぶ)」は、まさに「死灰復燃(死んだ灰が再び燃え出す)」との声が出ています。共産党一党独裁国家中国ではまだまだ一部の人間だけがその富を貪っているようです。そういえば2017年に西泠印社主催で開催された「西泠四君子展」、祝賀会なのにアルコールが全く提供されず、お茶で乾杯となったのには寂しい思いをしました。それにしても中国の徹底ぶりに驚かされました。
 唐代の詩人・杜甫(712〜770年)の詩に「朱門酒肉臭、路有凍死骨」があります。金持ちの家には酒や肉も有り余って臭い匂いを発しているというのに、道端には凍え死んだ人骨がころがっている、という意味です。現在の中国社会をみると、幹部たちの贅沢ぶりと貧困層の生活は両極端で、貧富の差はますます広がり、まさに杜甫の詩が描いた風景と同様に好対照となっています。
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