★卷有益(開巻有益)-1

更新日:2022年10月01日

 北宋の第二代皇帝・太宗(在位:976年1115日〜997年5月8日)は、本名を趙匡義、後晋(936年〜946年)の天福4年(939年)に生まれました。太祖の政策を引き継ぎ、藩鎮(節度使)の武人勢力削減に努めるとともに、皇帝を中心とした官僚制の整備に努めるなど文治主義を推し進める一方、979年に南方の呉越、北方の北漢などを滅ぼし、中国の統一をほぼ完成しました。
 太宗は真面目に読書をする皇帝であり、即位前から努力して広く様々な書物を読みあさり、読書の習慣により豊富な知識を養ったと言われています。太宗は皇帝即位2年目である太宗の太平興国2年に、翰林学士の李ムらに命じて百科事典の編纂を開始させ、異なる分類ごとに大量の典故や様々な材料を記載させました。
そして凡そ7年の時間を要した太平興国8年、全1,000巻余り、文字数約500万字にも及ぶ太宗命名『太平総類』をついに完成させました。本書に引用された古書は2,500種以上で、天部、時序部、地部、皇王部、州郡部など全55部から構成され、ありとあらゆるものが網羅されています。のちに太宗が毎日三巻ずつ、1年掛かりで全て読了したことから『太平御覧』に改名されました。
 陶淵明(陶潜:365年〜427年)が出典は『宋書』陶潜、宋・王闢之『縄水燕談録』巻六で、
  開卷有益、朕不以為労也
  巻を開きて益有り、朕以て労と為さず。
という言葉が生まれました。
「開卷有益」とは、努力して読本をするよう促す成語です。巻は「書巻」、つまり昔は巻物であった書物を指します。よって開巻とは書物を開くこと、読書を指します。本を読めば全く疲れを感じないという意です。
 次号では『三国志』魏志を出典として読書、熟読の必要性、大切さについてお話ししたいと思います。

★…開の門構えを取る

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