中国伝統民間玩具「風車」-2

更新日:2024年04月15日
李蒿画国宝『貨郎図−市担嬰戯』台北故宮博物院蔵
 さて中国の風車の歴史は意外に古く、宋代の絵画にもしばしば風車の絵を見つけることができます。写真は南宋の画家で銭塘(現在の杭州市)出身の李蒿(1190〜1230)が描いたとされる貨郎図で、国宝『市担嬰戯』と言います。
 貨郎とは雑貨を売り歩いた古代の行商人のことで、頭にある行商人の帽子の後ろに小さな風車が描かれています。貨郎は天秤棒か手押し車で商品を運び、町や村を売り歩きました。でんでん太鼓を鳴らしながら、独特の節回しで歌いながら商品の機能や使い方を説明して売り込みました。その歌声が聞こえると、客の女性や子供たちが集まって来たようです。
 中国から風車が日本に渡来した平安時代には、紙製風車として子供の遊び道具になっていました。室町時代になると起きあがり小法師や手毬などとともに、子供の玩具として親しまれていたことが、当時の小舞の文句の一節「いたいけしたる物」、つまり小さくて可愛らしい物として詠われていたことなどから窺われます。
 最後に風車の番外編として省都・成都市の街角で見かけたというレポートのご紹介です。 十字に組み合わせた細竹のそれぞれの先端に、なんとゾウリムシの長い前脚の一方を折り、そこに竹の枝先を深々と差し込んで、虫が飛ぶとそれが推進力になってクルクル回るという、風車ならぬ虫車というのがあるようです。
 子供が売っているようですが、こんなの買ってどうするんだろなと不思議に思う筆者です。
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