虫と蟲-1

更新日:2016年03月01日
康熙五十七年「大戴礼記」朱軾序刊

 古代中国の動物に対する観念に「五虫」というものがあり、それぞれ羽蟲・毛蟲・甲蟲・鱗蟲・★蟲を指しました。
  羽蟲は羽を持つ動物で、その長は鳳凰
  毛蟲は毛のある動物で、その長は麒麟
  甲蟲は甲羅を持つ動物で、その長は神亀
  鱗蟲はうろこを持つ動物で、その長は蛟竜
  ★蟲ははだかの動物で、その長は聖人
です。出典は漢代の儒者戴徳が古代の礼文献を取捨整理した論文集「大戴礼記(巻一三81篇)」易本命篇で、次の一文で、
  有羽之蟲三百六十而鳳凰為之長、
  有毛之蟲三百六十而麒麟為之長、
  有甲之蟲三百六十而神亀為之長、
  有鱗之蟲三百六十而蛟龍為之長、
  ★之蟲三百六十而聖人為之長、
  此乾坤之美類、禽獣万物之数也、
です。
 『西遊記』ではこの五虫に五仙「天・地・神・人・鬼」を加えて十類と読んでいますが、これは明代に行なわれていた生物分類法によるものです。
 次号ではもう少し「虫」について掘り下げてお話ししたいと思います。

作字★…「人偏に果」

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