寒山寺と楓橋夜泊-1

更新日:2017年07月01日
寒山寺と楓橋
 中国江蘇省蘇州市にある「寒山寺」は、旧市街から西に約5キロ、蘇州駅南南西に3キロの姑蘇区にある臨済宗の仏教寺院です。中国中唐(8世紀)の詩人、官僚政治家であった張継が詠んだ漢詩「楓橋夜泊」の石碑があることでも知られています。
  張継(?〜779?)、字は懿孫。湖北省
  襄州(襄陽市襄州区)の出身。
 この漢詩は役人の試験に落ちた張継が船の旅に出て、蘇州西郊の楓江にかけられた楓橋の船着場で停泊した際、旅愁と落第のショックで眠れぬまま一夜を過ごします。そして寒山寺の鐘の音を聞いて、ふと船外に出た明け方の情景を詠んだ作品とされています。  「唐詩選」に収められるなど評価の高いこの詩は、七言絶句を五行でまとめていますが、一句目の「天」、二句目の「眠」、四句目の「船」が押韻となっています。
  月落烏啼霜満天
    月落ち烏啼いて 霜天に満つ 
  江楓漁火對愁眠
    江楓漁火 愁眠に対す
  姑蘇城外寒山寺
    姑蘇城外の寒山寺
  夜半鐘声到客船
    夜半の鐘声 客船に到る
 寒山寺の北100メートルのところに掛かる楓橋は石造太鼓橋で、当時の姿のままだそうです。元々は「封橋」と言いましたが、張継の詩「楓橋夜泊」が有名になったことから「楓橋」に改められました。
 次号ではみなさんもご存知の、蘇州を代表すれ宇お土産「寒山と拾得」と「楓橋夜泊」の拓本についてもお話しします。
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