客流客留-1

更新日:2018年11月01日
とても書店には見えない上海「鍾書閣」内観
 書店はその国の知的レベル、その都市のトレンドを表すものです。いわば文化的インフラですが、近年、我が国は活字離れとともにオンライン書店やネットメディアが広まり、さらにはスマホや電子書籍リーダーなどの普及で、紙媒体の出版物の販売が激減し、それとともに出版社倒産、書店の閉店、倒産が相次いでいます。
 中国でも2008年頃から書店の実店舗が閉鎖や倒産に追い込まれるなど、書店を取り巻く環境に大きな変化が生まれています。賃貸料や人件費の高騰に加え、オンライン書店が積極的に価格競争を仕掛け、その結果、従来型の書店は経営不振に陥り、次第に追い込まれていったケースがほとんどのようです。経営不振に追い込まれているのは中小の書店だけでなく、国営の新華書店のなかにも閉鎖に追い込まれるところが出てきています。
 日本では蔦屋書店のようなニュースタイルの大型書店が人気を集めていますが、中国でも上海の最も美しい書店と言われる上海「鍾書閣」や「猫的天空之城」、江蘇省の「字里行間」、四川省の「西西弗書店」、「言几又」や昨年9月に開店した「九方」などはその代表的な存在です。
 最近、客離れが深刻だったショッピングセンターはこれら書店の集客力に驚き、政府からの政策的支援もあって、さらに書店の誘致に力を入れているそうです。ショッピングセンター側は書店に対して店舗家賃の完全免除や、驚くほどの安価にするなど、魅力的な条件や作戦で書店を取り込んでいます。実際に北京や上海などの大都市だけでなく、各都市の行通量の多い繁華街や商業施設内に、書店の実店舗開店が続いています。
 それらの多くはカフェを併設したオシャレな内装だったり、他の業態とコラボして、新しい快適な文化空間を消費者に提供しています。なかには24時間営業とすることで差別化を図る書店もあります。「中国のアマゾン」とも呼ばれる当当網(ダンダン.コム)は世界最大の中国語のオンライン書店として知られ、書籍のほかにも映像、音楽などのメディア、家電やファッション、インテリア、食品などを取り扱うショッピングサイトです。中国の書店の勢力図は、当当網(ダンダン.コム)が主導する形で塗り替えられ、従来型の書店は淘汰され、新たなコンセプトを持った実店舗とオンライン書店に集約される時代が近づきつつあるようです。
 次号では、中国の書店が顧客の滞在時間をいかに伸ばす“客留”についてどのような工夫をしているか、中国で日本の書籍がどのようなとりあつかいをされているかについてお話ししたいと思います。
←前へ 目次 次へ→