紅星牌と公私合営-1

更新日:2019年12月01日
安徽省宣紙集団公司
 中国では書画作品に使うことを目的に全紙など大型の紙が作られますが、これらを総じて「書画紙」と呼んでいます。書画紙のうち産地限定しているものは「宣紙」と呼びます。中国安徽省産手漉き本画宣紙で、書道家に最も親しまれている紙と言えば、「紅星牌本画宣紙」が有名です。
 紅星牌は、中国国営第一の画仙工場で、文革前から原料作りから出荷まで全ての工程を手作り生産で行うことを売りに発展してきました。青檀の樹皮などを3ヵ月ほど石灰水に漬け、その後10ヵ月間、寝かせて青草にし、それから天日干しによって乾燥させています。紅星牌宣紙工場はこの伝統的工程を守っている唯一の工場だそうで、ここで生産されるA級紅星牌宣紙は主に日本に輸出されて来ました。
 そして最後の工程である紅星牌印を押印して宣紙の品質保証書である産地、サイズ、枚数、生産年などが明記された「産品カード」を封入し、50枚毎、また100枚毎に丁寧に梱包され高級ブランドの証しとしています。写真(次号でご紹介)にあるように、「紅星牌」印の円周に星がくっ付いていないのは「公私合栄」、つまり国と民間の合同製作を示し、1966年以前の文化大革命以前の生産品を意味します。公私合営とは、中国資本主義における商工業に対し、従前の社会主義的商工業を改造させる目的で行われた国策で、個別企業の公私合営と、全業種に関連する公私合営の二種類あります。
 1954年以後、改革開放を旗印に、中国経済は急速な発展を遂げました。書道の世界に関しても大きな変革期となり、特に宣紙など紙業界に顕著に顕れました。改革開放以降は国営商社が一括管理してきた中国宣紙集団公司の「紅星牌」ブランドは中国安徽省県宣紙廠で製造されるようになりました。安徽省縣産の青檀皮と砂田稲草を使い、県のきれいな渓流水で漉いて作られた宣紙は、高級手漉きの本画仙紙として生産されました。宣紙の中でも最も品質の良いものが紅星牌で、多くの書道家、愛好者から親しまれた最高峰の画仙紙です。
 次号では紅星牌宣紙廠経営陣のクーデターによる交代と、それによる経営方向転換によって起こった品質劣化、品質の良い頃の紅星牌を入手することが困難な現状について書きたい思います。
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