十竹斎箋-2

更新日:2017年06月15日
敬天齋主人蔵十竹斎箋
 民国22年(1933)、木版を愛好した魯迅と鄭振澤は中国古詩箋の名品300種以上を蒐集し、その復刻に尽力しました。その仕事の一つが当時の北平(北京)で入手した5.000もの版木から460数枚の箋紙を選んだ「北平箋譜」全六巻の自費による少部数限定出版と、さらに翌民国23年(1934)、魯迅は通県の王孝慈の蔵本を借りて「十竹斎箋譜」の翻印をはかったのです。
 しかしこの刊行に7年かかり、第二集を印刷中に逝去、生前に完成することは叶いませんでした。この二点に関しては、魯迅と深い交流があり、魯迅文学研究の第一人者であった関西大学文学部教授・増田渉氏ご遺族の寄贈による増田文庫として関西大学に保管されています。
 筆者がこれまで確認したのは前号でご紹介した「十竹斎箋譜(1951年 全四冊 栄宝齋)」と「十竹斎箋譜(1952年 全四冊 国際書店)」で、既に4〜50万円の市場高値となっています。内容は「龍種」から「文佩」まで33種類、譜の題材は豊富で、花鳥樹石・山水亭宇、古人の韻事嘉言も含む木版彩色画280余枚が収められています。
 写真は筆者が所蔵する「十竹斎箋」で勿論、文革以降の複製ですが、水印信箋一八件として美術オークションに出品されていて落札したものです。いろいろと調べたのですが、紙箋に関する書籍や資料はあまりにも少なく、「中国合肥」とある本品と同様の「十竹斎箋」を見つけ出すことは出来ませんでした。新物ではないので、暫く手元に置いておこうかと思っています。
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