大人者言不必信、行不必果-2
更新日:2025年10月15日
●(左)田中角栄総理と毛沢東国家主席の会談 (右)毛氏から書籍贈呈を受けた角栄氏
孔子は自分の信念を通すことは立派だが、柔軟な部分も求めています。これを間接的に言っているのが今号の「大人者言不必信、行不必果」です。
孟子曰、大人者元不必信、行不必果、惟義所在。
孟子曰く、大人は言必ずしも信ならず、行必ずしも果ならず、惟義の在る所のままにす。
出典は孟子 第八巻 離婁章一一で、「有言実行」、「言行一致」は当然ですが、もしも言ったことに誤りがあった場合、それを修正する必要があり、「過ちては改むるに憚ること勿れ」、つまり、過ちに気がついたら、体裁や対面などにとらわれず、ただちに改めるべきだということです。「一度決めたから頑なにやり遂げる」ような猪突猛進型ではなく、できる人は柔軟性があり融通がきくのが「大人」だということです。大切なことは「義」であり、「義」が果たさればその方が良いという考えです。朝令暮改でも義にかなっていれば周りを納得させればいいということです。「大人」は現代中国語でも使われますが、日本語の「大人」とは概念が違います。中国語の「大人」は、「立派な人」が本来の意味で、転じて組織の長に使われます。歳を重ねただけでは「大人」にはなれず、それは「君子」と同じ概念です。
何事においても、根本を理解することが要であると説いていますが、これは非常に大事な事で、人間は限られた人生で、得る事の出来る知識など限られています。情報化時代の昨今、マニュアルが無ければ何も出来ない人が増えています。少し考えれば分かるのにと思うことも多々あります。一を聞いて十を知る能力を培っていきたいものです。