懐かしい偽竹簡騒ぎ-3
更新日:2026年02月01日
先月号の続きですが、まず「書道美術新聞」で紹介された書写鑑定として、
1.1987年出土の包山楚簡の写し易い箇所の引用がある。
2.包山楚簡は高貴族の裁判関係文書だが、一般の墓から類似内容の出土は不自然。
3.「干支」で始まる箇所の写しが多く本物らしく見せている。
4.文字の誤写箇所が多い。
次に科学鑑定から、東京大学総合研究資料館・放射線炭素年代測定室が「放射性炭素年代測定法(炭素14年代測定法)」を用いて調査したところ、「1960年前後、1980〜90年の竹」との調査結果を出しました。結論として、書写内鑑定で四点の疑問が、科学鑑定で放射線炭素C一四による決定的証拠が揃い、偽物という結論が出たのです。コレクターが騙されただけなら、それは授業料や「いい経験」という話でやむを得ないことかもしれませんが、研究者や専門家が騙されたら冗談では済まないので、慎重に真偽を検討する必要があります。
さて、2020年の世界の美術品市場規模は501億ドルといわれているのですが、そのうち贋作市場規模については専門家の間でも意見が分かれているものの、2014年にスイスの美術専門家協会が発表したレポートによると、流通している美術品の半分以上が偽物であると推定されているそうです。真偽の判定法には、字形や書体の分析、伝世文献や過去の出土資料との文章内容の比較、理化学的方法[炭素14年代(炭素の放射性同位体を利用して年代を測定)・電子顕微鏡撮影・成分分析など]があります。
次号ではデジタル的検査では絶対に立証出来ない、経験や鑑識眼など、熟練した鑑定技術による鑑定の大切さ、それらを通して真贋判定についてお話ししたいと思います。