満漢全席-2

更新日:2019年01月15日
25年前、文物出版社からの接待で訪れた旧仿膳飯荘。最後尾に中国書法家協会会長の蘇士樹氏の姿が。
 さて、筆者は20年以上前になりますが、2回、北京・北海公園にある老舗宮廷料理店「★(イ+方)膳飯荘」で“満漢全席風料理”の接待を受けたことがあります。数日間かけて食べるような本物の満漢全席ではなく、言わばミニ満漢全席といったところでしょうか。★膳飯荘は1925年に設立された中国国内最初の宮廷料理店です。
 北海公園が開園された際、元の宮廷厨房「御膳房」の使用人をしていた趙仁齋とその息子、趙炳南が孫紹然、王玉山、趙承寿など宮廷料理人を雇い入れ、北海公園北岸に茶館「★膳茶社」を開設したのが始まりで、宮廷厨房「御膳房」の料理を真似していることから店名を「倣膳」にしたようです。1955年に私営から国営化され、翌56年に店名を「倣膳飯荘」に改めました。59年、周恩来の指示で同公園内の瓊華島にある★(さんずい編+猗)瀾堂(いらんどう)、道寧斎など乾隆年間に建てられた建築群に移転しました。66〜77年の文明革命時には公園が閉鎖されたため、★膳飯荘も一般客向営業を停止し、この間は外賓と会見する際や政治活動を行う場所として利用されました。
 ★膳飯荘に勤める多くの料理人は、故宮博物院に保存されている膨大な宮廷料理に関連する記録や資料を探し出し、懸命に再現する努力をしていることから、★膳飯荘では全ての宮廷調理法を忠実に再現した宮廷料理を提供するとしています。現在は国内外からの著名人や観光客が訪れ、宮廷デザートや宴会料理、「満漢全席」風など、手の込んだ料理の数々が提供されています。筆者が訪れた“旧★膳飯荘”は中国伝統の宮廷四合院作りで、服務員(スタッフ)は清朝時代の女官衣装に高下駄、3つの庭園に大小12の部屋、座席数は300程度で、中国伝統と宮廷をテーマにした彩絵や宮灯で彩られ、カーテン、テーブルクロス、ナプキン、チェアカバーは皇帝と同音の黄色で統一されていました。食器類には清朝宮廷に倣った祝詞「萬壽無疆」と書かれたものを使っていて、凄く重厚で厳粛な雰囲気を醸し出していました。
 現在の★(さんずい編+猗)瀾堂、斎寧堂、晴欄花韵などいずれも古趣の佇まい溢れる食堂と3つの庭園から構成され、大小含め15部屋500席という大規模になったようで、久しぶりにご馳走を食べたいなと思っています。
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