満漢全席

更新日:2019年01月01日
仿膳飯荘の現代版「満漢全席」

新年、おめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。2019年初めのコラムは、豪華料理のお話からです。

 満漢全席とは、中国宮廷料理の一つで、「満」は清朝の根拠地で現在の東北地方にあたる満族の住んだ満州地方の料理、「漢」は漢民族の住む華北、華中、華南の料理を指しています。清朝第三代皇帝の乾隆帝が揚州を訪れた際、巨富を得た塩商が山海の珍味を集め、満州風料理の手法を取り入れて献上した料理に「満漢席」と命名したのが始まりで、李斗「揚州画舫録」にも満漢全席と記載されています。満漢全席はこの頃から始まった満州族の料理と漢族の料理から、山東料理の選りすぐった料理だけを集めた宴会様式の料理です。山八珍、海八珍、禽八珍、草八珍の四組「四八珍」の珍味を集めた「三二珍」と定義されているとも言われていますが、後代に、さらに広東料理など他の漢族の地方料理も加わり、西太后の時代になるとさらに洗練された豪華料理になりました。特に盛大な宴席になると冷菜と熱炒など前菜八品、大皿六品、小皿六品、碗四品、旬の点心、デザート四品、新鮮な果物と乾燥果物が四品ずつ、さらに二種類以上の中国茶などが出され、数日間かけ料理からデザートまで一人前108〜158品種類もの料理が準備されます。また、食事の合間には京劇など途中で出し物を演出し、詩歌創作、それが出来ないと罰として酒を飲む遊戯「酒令」、壺に矢を投げ入れて競い、負けた者が酒を飲む遊戯「投壺」、さらに双六や囲碁などの「博奕」も楽しんだそうです。
 しかし、清朝が滅亡すると、このような贅沢の限りを尽くすことは不可能になり、宮廷内の料理人は四散したため料理の伝統やレシピも途絶えたとされています。しかし、NHKが日中国交化三〇周年を迎えた2002年、BSまるごと大全集で日中共同プロジェクト制作され放送された「中国4,000年の奥義完全復元満漢全席」で、杭州商学院・趙栄光教授監修のもと前述の「揚州画舫録」に記載されていた六六品と「孔府档案」に記載されていた28品を、これら文献を紐解き完全復元しました。後にこの放送を編集・再構成したDVD全15巻で発売していますが、30万円をこえる高額商品なので流石に諦めています。
 次号は筆者が北京・北海公園にある老舗宮廷料理店「★(イ+方)膳飯荘」で超贅沢な接待を受けた思い出話をしたいと思います。

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