中秋月餅-1

更新日:2023年09月01日
いろいろな中秋月餅

 今月9月29日(金)は中国の「中秋節」です。中秋節は商時代(紀元前1600〜1046)の月を祭る風俗から始まったとされ、3,000年余の伝統的祝日になっています。筆者は18年前の本誌(本頁は17年前)で中秋節について書きましたが、中秋節に欠かせない食べ物「月餅」には触れませんでした。
 日本では奈良・平安時代の貴族たちが催した風雅な「月見の宴」が始まりで、中秋節を「中秋の名月」、「十五夜」と呼び、中国と違って月餅の代わりに「月見団子」を食べました。中国では元来、月餅は月の神を祭る供え物でした。
 その後、中秋に月見をすることと、「満月=丸い月餅」を食べることは、「一家団欒の象徴」とされるようになり、月餅は節句の贈答品になっていきました。筆者にもこの時期には中国の取引先や友人から月餅が贈られてきます。この習慣は年々進化し、地方毎に種類も風味も異なります。
  「広式」は精細な工芸、厳格な制作など月
       餅会のリーダー、皮が薄く、餡が大き
        い。
  「京式」は北京、天津および周辺地域、甘
       みと皮と特別な風味の餡、柔らかい。
  「蘇式」は蘇州一帯、餡には五仁餡、漉し
       餡などがあり、餅の皮がサクサクして
        柔らかい。
  「徽式」は上等な小麦粉を使い植物油と一
        緒に混ぜ、餡は野菜を採用している。
など、月餅はカテゴリー分けされるほど豊富です。他に★(雲南省の別称)式月餅や衢(浙江省の衢州)式月餅も有名です。
 さて、北宋の詩人蘇軾は『留別廉守』のなかで
  小餅如嚼月、中有酥和飴(小餅は月を食べてい
  るようで、中に乳製品や甘いものが入っている)
と書き残しています。この「小餅」は月餅を指しているのです。
 次号では中秋節に月餅を食べる習慣はいつから始まったのか、また中秋節の移り変わりについてもお話ししたいと思います。

★…さんず+眞

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