中秋月餅-2

更新日:2023年09月15日
明代・田汝成 輯撰の『西湖遊覧志会』
 月餅という単語は、南宋時代の呉自牧が都・臨安の地理風俗を記した随筆集『夢梁録』に記載されています。中秋節に月見をし、月餅を食べることを描くのは、明代・田汝成 輯撰の『西湖遊覧志会』にあり、
  八月十五謂之中秋、民間以月
  餅相饋、取團圓之意。
  8月15日は中秋で、民間では
  月餅を贈り合う
と記載されていて、この頃には民間で流行していたことが分かります。清代になると、月餅について記載する書物は多くなり、それにつれて月餅制作はますます盛んに、そして精巧になっていきました。
 中秋節の風習は、台湾・香港など中華圏、さらに韓国やベトナムなどでもみられます。獅子舞が舞う祭りや花火、ランタンのイベントなどが催されたり、家庭でも灯籠を灯したりする地域もあり、街がとても華やぐ期間になります。そしてお供え物でもうひとつ欠かせないのが西瓜です。その西瓜は蓮の花をかたどって奇麗にカットされていて中秋節の重要なお供え物です。その他に、リンゴ、ブドウ、ナツメ、スモモなどをお供えする家庭も多いようです。
 中秋節が終わると10月1日は春節(旧正月)に次ぐ伝統的な祝日「国慶節」です。中国も未だコロナ禍と戦っている状況ですが、暦の関係で中秋節と国慶節の間が近いと、長期の休暇を取って民族大移動となります。旅行される方も多くなるため、各省あげて移動の自粛を呼びかける記事や報道が目立っています。
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