●中国四大美人切手 左から西施、王昭君、貂蝉、楊貴妃
性格はいいか悪いか別として、美人を表わす漢字に美人、美女、佳人、麗人、別嬪などがありますが、これくらいは誰でもご存知かと思います。そこで少し難解な漢字を探してみると、取り分けすぐれた美しい女性を「尤者(ゆうぶつ)」、直接の美人というより色っぽい唇の女性を「朱唇(しゅしん)」、三日月なりの美しい眉が転じて「蛾眉(がび)」、たおやかな優しい女性を「手弱女(たおやめ)」、艶やかな様子の女性を「★(けん)」などがあります。さらに、しなやかな歩みを意味する「蓮歩」がありますが、最上級の美女の場合は「金蓮歩」と言います。出典は中国・斉の時代の「南史」斉東昏侯紀で、故事「歩歩蓮華を生ず」の記載があるのですが、そこには東昏侯が裸足の潘妃に金の蓮の花の上を歩かせ、その姿に陶然となったという故事があります。
今月は中国古代四大美女と呼ばれた春秋時代・西施、前漢・王昭君、後漢・貂蝉、唐・楊貴妃について、「中国古代四大美女」記念切手を元に「四美人」という画題「沈魚美人」「落雁美人」「閉月美人」「羞花美人」についてお話ししたいと思います。ちなみに「沈魚落雁、閉月羞花」(魚は沈み隠れ、雁は羽ばたきを忘れ、月は雲裏に逃れ、花は恥じらいしぼむ意)という中国の格言は、これらの美女に由来します。
@沈魚美人 西施
川で洗濯している彼女を見た魚が泳ぎを忘れて沈んでしまいました。
春秋時代末期、越王勾践が呉王夫差を骨抜きにするために送り込まれた美女。美女は兵器よりも恐ろしい。
A落雁美人 王昭君
彼女が琵琶を弾くとその美しさに雁も飛ぶのを忘れて落ちたといいます。
前漢時代、元帝の宮女・王昭君は和親政策のため匈奴の呼韓邪単于の嫁として嫁がされました。その哀話は戯曲「漢宮秋」などの文学作品や、人物画「明妃出塞図」の題材となりました。
次号では、残りのB閉月美人 貂蝉、C羞花美人 楊玉杯(楊貴妃)の紹介と、美人と佳人の違いについてお話ししたいと思います。