温故創新-2

更新日:2025年12月15日
福田康夫内閣総理大臣揮毫の「温故創新」

●福田康夫内閣総理大臣揮毫の「温故創新」

 ここで本題の「温故創新」に戻します。2007年、当時の福田康夫内閣総理大臣が中国訪問の際に孔子廟を訪ねた際、「文化の一つの原点。大変感銘深い」と語り、「温故創新」と揮毫したことで知られています。小泉純一郎首相退陣まで日中関係は「政冷経熱」と言われました。この年の温家宝中国首相の訪日は「融氷之旅(氷を融かす旅)Jと呼ぴ、この福田康夫首相の訪中を「迎春之旅(迎春の旅)Jと呼び、翌年の胡錦涛中国国家主席の訪日を「暖春之旅(暖かい春の旅)Jと呼び、徐々に日中関係の改善の兆しを見せました。

 そのきっかけが「温故創新」であり、古きを訪ねて新しきを創るという意から、過去を踏まえながら、これからの新しい日中関係を期待するという思いを込めた造語と言われています。古き良き伝統、文化、習慣の良いところから学び、新たな発想で新しいことに挑戦するという意味合いです。「創新」とは中国語で「イノベーション」のことです。つまり新らしいアイデアや新機軸を出すということです。

 近年コンピュータやIT技術の発達により、あらゆる面の変化や進化のスピードは「日進月歩」です。今や、時代は政治、経営、科学の分野のみならず、あらゆる組織のリーダーには、古くに学び新たな知識や技術を啓くことはもちろん、自分にとって本当の価値、新しい価値を見つけるために発想を変えて自分の物差しを持つことが必要であり、さらにその上で新しいものを創造することが求められます。書道的には古典に学び、新しい藝術を紡いでいただければいいなと思います。

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