玉石混淆-1

更新日:2016年11月01日
璧と玉j(台北故宮博物院所蔵)
 玉は「たま」とも読みますが、今回は球体の「たま」ではなく「ぎょく」について書きたいと思います。玉は翡翠などの宝石や美しい石の総称、また「玉璽」を指します。現代中国における玉の産地は、新疆ウイグル自治区の于田・洛浦・象田の三カ所と言われていますが、古代の玉の産地は主に西域のホータン(和田)でした。ホータン(和田玉)はその色を、白玉、紅玉、青玉、青花玉、紫玉、墨玉、青白玉、黄玉、碧玉、桃花玉などに分類しているのですが、なかでも最上質の和田玉は「羊脂玉」と呼ばれ、俗語「一墨二黄三羊脂」はという和田玉等級分を生み出しました。
 中国で玉は龍山文化(紀元前2000年)以来、珍重されてきました。厳密にはジェード輝石、翡翠輝石など単斜晶系の硬玉と、陽起石、透閃石など硬度の低い軟玉の二種ありますが、古代人は美玉には特殊な「霊魂」があると信じていました。さらに社会の進歩とともに宗教的・哲学的・思想的・道徳的などの面から、また人文主義の台頭で儒学が興ると、儒家は「君子」の象徴として「仁・義・智・勇・求vの美徳を説き、美玉は次第に道徳化されるまでになりました。それらは様々な装飾、服飾、器、財宝、そして権威の象徴として珍重されてきましたが、古代の墓から出土する「葬玉」として副葬されたのは、死者の腐敗を防ぐのと辟邪の効果を考えていたとも言われています。
 玉はさまざまな形に加工され、世界各地の博物館に収蔵されています。中央に穴の直径が周辺の輪幅の半分のものを「璧(へき)」といいますが、台北故宮博物院が収蔵する璧は4000年前の世界最大級の璧です。
 次号では玉の種類と、アクセサリーにまで昇華した昨今の玉についてお話ししたいと思います。
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