青銅器全形拓-2

更新日:2019年06月15日
中央研究院歷史語言研究所と収蔵する青銅器全形拓
 また臺北市にある中央研究院歴史語言研究所には28,000余種、約40,000枚に達する大量の金石拓本を所蔵していますが、そのうち1200点以上に及ぶ青銅器全形拓本が収蔵されています。その多くは1930年代前半に蒐集・購入したものと、ごく一部寄贈によるものが含まれていますが、元々の蒐集家は劉体智、柯昌泗、陳介祺など、著名な蒐集家たちで、彼らはまた名コレクターから手に入れた伝世品であるため、品質や保存状態がよく、大家による題記、名職人が拓製し押印したものなど珍奇珍品が数多くあります。
 全形拓本はさらに細かく三種類に分けられ、
 @分紙拓本:局部を石摺ってから切り貼りして形を整える方法。しかしこの手法は単に平面の拓本を切り貼りしているだけで、立体的に器を石摺っているわけではない。
 A整紙拓本:拓本用紙を何度も石摺ったり、角度を変えたりして青銅器の立体的な形や模様を一枚の拓本用紙に写す方法。
 B翻刻拓本:器具の形や模様を木や石版に彫ってからそれを印刷する方法。実際には@の分紙拓本とBの翻刻拓本のやり方を併用して作品を完成させる。 
となります。
 このようにして採拓された拓本の部品をつなぎ合わせ、裏打ちで補強して完成します。出来上がった全形拓は錆びによって鮮明には見えなかった文字や模様が浮き出るかのように判読出来、青銅器など器物本体とは異なる美的感覚を持つ芸術面と学術面での“作品”となるのです。
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