陳 介祺-2

更新日:2020年05月15日
陳介祺 《行書地偏雨冷七言聯》(天津博物館藏)と十鐘山房印挙
 陳介祺の第六世子孫にあたる陳継揆「「秦前文字之語」前言に陳介祺が蒐集した膨大なコレクションに言及しています。それによると、
  銘のある商周銅器248件、秦漢銅器97件、
  石刻119件、★(土篇専)326件、瓦當
 923件、銅鏡200件、璽印7,000余方、
 封泥548方、陶文5,000片、泉鏡鏃各式
 范1,000件、銅造像計測不能、
とあります。
 清朝以降の名だたる蒐集家のなかで、これほどまでの蒐集品の多さ、質の高さは際立っています。恐らく父譲りの経済力を持ってでないと不可能であると思われますが、その経済力の源泉などについては明らかになっていません。
 蒐集品から後世の益となる功績となるものに印譜があります。印譜とは鑑賞や研究を目的に印影や印款を掲載した印籍(書)を指します。原印を直接押印した原ツ本と、模刻印を押印したツ印本、木版などに写した翻刻本があります。
 現存する最古の原ツ本印譜は明代隆慶6年(1572)刊の顧従徳「集古印譜」6巻ですが、このほかに1600年范大K「范氏集古印譜」10巻などがあります。清朝1684年になると呉観均「稽古斎印譜」10巻、1752年の汪啓淑「漢銅印叢」12巻、そして陳介祺が「十鐘山房印挙」を著しました。本印譜は陳介祺が生涯をかけて蒐集した古銅印10,376種を押印した荘大なる原ツ古銅印譜集です。
 1872年に50巻本、そして光緒9年(1883)に191巻本がありますが、陳介祺は蒐集家として研究者として著名であり、古印研究家と深く交流が深くしていたので、質量とも最高水準の古銅印であり、さらに印箋や印泥などを厳選し、当時最高水準の環境で製作されたため、十鐘山房印挙は「印譜の王様」と呼ばれています。
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